【燕市中川】家庭菜園もできる!1,200坪の庭付き貸家

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鈴木亮平

新潟市在住のフリーランスの編集者・ライター(屋号:Daily Lives)。1983年生まれ。企画・編集・取材・コピーライティング・撮影とコンテンツ制作に必要なスキルを幅広くカバー。紙・WEB問わずコンテンツ制作を行う。

家庭菜園を存分に楽しめる広大な庭のある家

今回取材に訪れたのは、燕市中川にある、現在30代半ばの大橋賢太さん・泉さん夫婦のお宅だ。中川は燕市の市街地から少し離れた中之口川沿いの集落で、畑と家と林が入り混じり、のどかな空気が漂っている。

大橋さん夫婦が暮らしているのは、集落内にある一戸建ての貸家で、延床面積38坪もの広さがある平屋だ。さらに、庭はなんと1,200坪もの広さを有している。それだけの広さがありながら、家賃はわずか5.6万円だという。

庭の一部は家庭菜園になっており、夏になれば二人だけでは食べきれないほどの野菜が採れるという。当然それでも1,200坪の土地を使い切ることはできないので、余った土地は愛犬ラムちゃんの贅沢過ぎるドッグランとなっている。

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1,200坪もの広さがある敷地。左に見えるのは中之口川の土手、右に見えるのが家。
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元々は農家の家だったという平屋。

 

不動産ポータルサイトではなく人づてで

この土地へ移り住んだきっかけについてうかがった。「元々自分はこの近くの出身で、妻は鹿児島の出身。東京で働いていた20代の頃に同じ職場で出会い、結婚して首都圏に住んでいましたが、将来的に子どもが生まれた時、地方の方が子育てがしやすいですし、広い畑で野菜を育てながら暮らす生活に憧れて、燕に帰ってくることを決めました」(賢太さん)。

最初は中古住宅を買おうと、自治体の空き家バンクの情報をインターネットで調べていたが、建物が傷み過ぎていたりなかなか理想的な物件を見つけられずにいたという。「そのうちに、新潟では中古住宅を買っても、首都圏と違って手放すときに買い手が見つかりにくいというデメリットがあることを考え始め、貸家を探すことにしたんです」(賢太さん)。

やがて賢太さんのお母さんの知人づてでこの物件に出会い、不動産業者を介さずに持ち主と直接賃貸借契約を結んだという。

「一般的な借り方と違い、修繕をどちらがするかという線引きが曖昧なところはありますが、逆に一般的な賃貸住宅よりも自由に使わせて頂けている部分も多いですね」と賢太さん。

不動産業者を介していないので、当然不動産検索サイトでは見つかることのない物件だ。人づてでこの物件と巡り合えたことから、住みたいエリアや空き家を見つけたら、まずは地元の人に聞いてみるのが最も早いと思うようになったという。

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深い庇がある伝統的な日本家屋。
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玄関前にはさまざまな樹木が植えられている。
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広々とした玄関。音楽フェスが好きな二人のアウトドア用の靴がずらりと並んでいる。
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玄関より左は和室の続き間。奥の部屋には床の間と仏間が設けられている。こちらの続き間は、冬の間はあまり使うことがないそう。
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玄関より右側はリビング。キッチン前のカウンターは賢太さんのお父さんの手作りなのだそう。

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愛犬のラムちゃん。
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寒さ対策のために、リビングの窓にはポリカーボネートで作った内窓が取り付けられている。
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キッチンの隣は賢太さんの仕事部屋。パソコンのほかに、音楽が好きな賢太さんのギターやDJ機材が置かれている。
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壁にはいろいろな音楽イベントのフライヤーが。

 

デザイナーの夫と、DIYで何でも作り出す妻

賢太さんはWEBデザイナーとして、これまで首都圏でいくつものIT系企業で働いてきた経験を持っている。そんな経験を活かし、「地元の産業を元気にする仕事をしたい」と、2015年に生活用品を扱う地元燕市の問屋に就職。その後、2016年には新潟市内のメディア系企業に転職し、WEB制作を通して地元の中小企業の課題解決に努めている。

妻の泉さんは、鹿児島の高校を卒業後、大阪の大学へ進学。「海外に住んでみたい」という子どもの頃からの目標を叶えるために、卒業後ワーキングホリデー制度を利用してオーストラリアへ渡った。レストランや農場などで働きながら、お金が貯まったら旅をするというサイクルを1年間続けていたのだそう。そして、オーストラリアで出会った友人カップルと一緒に日本に帰国し、首都圏で働き始めたという。

DIYで自らものを作り出すのが好きだという泉さんは、味噌や梅酒、梅干しなどを自分で仕込んだり、ハーブ検定の資格を取って、ハーブを使った石けんや軟膏を作ったりしている。「元々自分がアトピーを持っていたんですが、ステロイド系の薬を使いたくなくて。それでメディカルハーブに興味を持つようになったんです」(泉さん)。

他にも天然石を使ったアクセサリーの制作や販売を行ったり、家庭菜園も籾殻や鶏糞をまいて土づくりから徹底して行っている。葉物から枝豆やトマトなどの夏野菜まで、季節ごとに野菜を栽培し、夏場はスーパーで野菜を買う必要がほとんどないのだそう。

「穫れすぎた野菜を近所の方に持って行くと、代わりに自分たちが育てていない野菜をたくさんもらったりすることもあります」と泉さん。大橋さん夫婦が暮らす地域では、物々交換がごく自然に行われている。

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和室の一角には、梅酒や味噌、梅干しなどのビンがずらり。
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味噌は原料となる豆の種類を変えて、何種類も作っているのだとか。
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自家製の梅干し。ごはんのうまみを引き出してくれる。
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ハーブを使った手作りの軟膏は、肌の乾燥に効果を発揮。
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こちらは泉さんがオリーブオイルで作った石けん。
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乾燥させたハーブ。
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珊瑚や天然石を使ったアクセサリーは、ハンドメイドマーケットサイト「minne」で販売。「33 sunsun」という屋号でやっている。

 

移住者にとって大切なのは、地域に積極的に溶け込むこと

燕に移住し本格的に野菜作りを始めて丸2年が経つそうだが、少しずつ土が良くなり、野菜が育ちやすくなってきているという。二人が「師匠」と呼ぶ近所のベテランの方を始め、地域の色々な人に助けてもらいながら野菜作りを行っているそうだ。

「地域で行われる集会や運動会などに参加をしているうちに、いろんな人に助けて頂けるようになりました。もし、これから地方の集落に移住しようと考えている人がいたら、地域の集会などに積極的に参加することをお薦めしたいですね」(賢太さん)。

 

移住者のサポートや、地域の活性化に貢献したい

二人にこれからの暮らし方や、これからやっていきたいことを聞いてみた。

「元々こういう戸建てを借りることにしたのは、自分たちだけじゃなく、いろいろな人と一緒に使える場所にしたいというのがありました。ゲストハウスの運営なども興味があるので、今後いろいろと考えていきたいと思っています。あとは、燕市に移住してみたいという人がいたら、物件探しなどの相談に乗りたいですね」(ご夫婦)。

さらに二人は最近、ニッチで価値のある地元のお店や人やイベントなどを紹介する「エチゴノート」というWEBマガジンを立ち上げたそう。「情報感度が高い人が集まってメモのような形で新潟のディープな情報を投稿するカルチャーノートを目指しています」(賢太さん)。

サスティナブルな暮らしや価値観を大切にする二人は、DIYや半自給自足、物々交換など、新しい生活スタイルを実践をしつつ、他方では、新潟の地域としての魅力をオウンドメディアで伝えていきたいと考えている。

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新潟県に限らず、人口減少と高齢化が同時に進む地方では、空き家がどんどんと増え続けている。そんな地方の集落の空き家に若い世代が移住してくれば、空き家が減ると同時に、地域に新しいエネルギーが注がれることになる。

リーズナブルな家賃で地域と繋がりながら暮らしを楽しむ賢太さん・泉さん夫婦は、今の土地に住んで間もなく丸2年が経とうとしている。

地方での暮らしに興味があるという人は、二人に実際に話を聞いてみるというのもいいかもしれない。家の話だけでなく地方でのやりがいのある働き方も含め、実践者のリアルな話こそが何よりも参考になるはずだ。

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賢太さんは地元の音楽イベントのオーガナイザーでもある。2016年より、三条楽音祭の実行委員長になった。

取材協力:大橋賢太さん・大橋泉さん
*問い合わせは賢太さん・泉さんのfacebookアカウントまで。
大橋賢太さんFacebookページ
大橋泉さんFacebookページ
*泉さんのアクセサリー販売ページ→33 SUNSUN

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