【トークセッション】「これからの住まいの形」(3/3)

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鈴木亮平

新潟市在住のフリーランスの編集者・ライター(屋号:Daily Lives)。1983年生まれ。企画・編集・取材・コピーライティング・撮影とコンテンツ制作に必要なスキルを幅広くカバー。紙・WEB問わずコンテンツ制作を行う。

*この記事は【トークセッション】「これからの住まいの形」の3/3P目の記事です。(1P目はこちら)(2P目はこちら

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4つ目のお題は「経済性を超えた『家』の魅力とは?」。

小林:家を建てる目的なんですが、確立したいライフスタイルを実現できるっていうことが大きいと思うんですよね。例えば庭でバーベキューをしたり、子育てをしやすい環境にしたり、ペットと一緒に暮らしたり…とか。
お施主さんで、山裾の600坪を超える広い土地を買ってそこに家を建てて、庭でヤギを飼って暮らしているご家族がいるんですが、それはもう家が目的なんじゃなくて、欲しいライフスタイルを実現するための手段として家があるっていうことだと思うんです。そこが、先ほどの資産性の話とは違う価値だと思います。

鈴木:自分は持ち家にあまり肯定的ではないように見えると思うんですけれども、大学で建築デザインを勉強していたので、実は持ち家について自分事としてもすごく興味があるし、時々簡単な図面を書いたりもしています。なんでかと言うと、ここ数年家で仕事とか作業をすることが増えてきたっていうのがあって。今1歳の子どもがいるんですけど、今の賃貸の間取りだと、子どもが寝た後じゃないと仕事に集中できないんですよね。で、もし家を建てるとしたら、1階に事務所スペースや週末だけお店みたいなことをやれるスペースをつくりたいなと思っていて。ただ住むためだけの家じゃなく、集中して仕事ができたり、新しいコトを起こせるようなスペースを家と一緒につくれたら面白そうだなと。結局それは仕事と関連してるので、実は「経済性」と繋がってるかもしれないんですけど。話をまとめると、自分が一番送りたい生活を実現するための場をつくって人生の質を高められるっていうのが自由設計の持ち家の魅力なんじゃないでしょうか?

村松:持ち家が経済的かというと現状そうではないかもしれません。しかし、持ち家には経済性を超えた価値があると思っています。僕の父親は仕事柄転勤族だったんですが、「子には故郷を与えたい」という考えがあって、僕が子どもの時に柏崎に家を建てたんですが、そのおかげで地元の仲間たちとの繋がりが今でもあって幸せを感じています。そこがやはり持ち家の価値だと思っています。
今は妻の実家に住んでいますが、それは感覚としては賃貸に近い部分がありますね。20~30年後に小さな家を建てるっていうのもいいなと思っていたり、海外で暮らすことにも憧れがあります。1年のうち半年は海外で、半年は日本でという暮らし方ができたらいいなとも思いますし、家を流動的に考えてリスク回避についてもしっかり考えたいなと思っています。

大橋:持ち家は、それは自分の家だからお金のことを無視すれば絶対賃貸に住んでるよりいい。犬飼ってもいいし、子どもが騒いでもいいし。ただそもそも、あまり家にお金を掛けたくないっていうのがありますね。持ち家だったら小さいマンションでミニマルに住むのでいいと思ってますし。あとは、タイが好きだからタイに住んでみたいですね。まだ子どもがいないから、子どもができたらまた色々考え方が変わるのかもですけど。
あとは好きなライフスタイルが叶えられるなら特に持ち家でも賃貸でもいいなあとも思います。そもそも今住んでる戸建ての賃貸にはけっこう満足しているっていうのがあるから、持ち家に対してあまり魅力を感じないのかも。

小林:あと、家を建てるっていうことを都市的なスケールで見た時、街並みをつくる一つの要素になりますし、地図に残るものでもある。いいものをつくれば街に貢献できるっていうのも自分で家を建てることの価値だと思います。

大橋:(鈴木)亮平くんの話はさ、それやっちゃえばいいんじゃない?って思った。その計画がうまくいったら、これから家を建てようって人に対してライフスタイルをプランニングするところから提案する仕事ができそう。

鈴木:やってみたいよね。でも現時点では長期ローンを組んで住む場所を固定化させる覚悟はないなあ…(笑)。

まとめ
資産性の話をいったん無視した上で「持ち家」の魅力は何か?というお題でしたが、これについては、ライフスタイルの実現の手段、住むだけでなく仕事や活動を充実させるための場所、故郷になること、自由に暮らせることなど、お金に換算しにくい価値があるということで様々な考え方が出てきました。
「賃貸と持ち家どっちがいい選択か?」という話はお金の話が中心になりがちですが、一度そこから離れてみると、持ち家ならではの価値が見えてきます。

 

その後は、第2部として各々が経験した旅で見つけた魅力的な暮らしや価値観について話し合う予定でしたが、ここまででだいぶ時間が掛かってしまったため、短めのフリートークに変更。

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村松さんからは、スペインで若者の失業率が高かった時期にスペインを訪れ、失業中の地元の若い人と話していたが、全然悲観的じゃなかったこと。

大橋さんからは、沖縄移住が何年も前から流行っているが、移住者の定着率が低く、その要因としては基地問題をはじめとした諸問題があり、移住者の理想と現実に差異があること。

小林さんからは、学生時代に卒論のテーマとして研究したモンゴルのウランバートル近郊の定住ゲル地区で暮らす人々の話で、彼らが便利な都市部よりも不便な定住ゲル地区に暮らすことに満足していること。

鈴木からは、経済的には先進国に遅れをとっているラオスでは、国民が暖かく穏やかな風土の中でストレスなく暮らしているように見えること。そこに行くと普段の自分の考え方や不安などがアホらしく思えてくること。

などなど、一度自分の生活圏内から離れ、視野を広げてさまざまな暮らしや価値観を考えた時に、かなり参考になることが見えてきそうだという話になりました。そして、いくら必死に正解を導き出そうとしても、異なる価値観の前では必死に構築した理論がいとも簡単に無意味化するような感覚になる締めくくりでもありました。

今回は「これからの住まいの形」というテーマでトークセッションを行いましたが、今後も「これからの〇〇」というテーマで、これから起こる変化についての意見交換、そこからの新しい生き方・暮らし方・働き方を模索していきたいと思います。

そして、新潟面白不動産のサイトでは、物件の記事だけでなく、これからの時代の考え方について定期的に取材記事で紹介をしていきたいと思います。

ここまで3回に渡るレポートにお付き合いをいただきありがとうございました!

(新潟面白不動産 鈴木)

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鈴木亮平

新潟市在住のフリーランスの編集者・ライター(屋号:Daily Lives)。1983年生まれ。企画・編集・取材・コピーライティング・撮影とコンテンツ制作に必要なスキルを幅広くカバー。紙・WEB問わずコンテンツ制作を行う。